アメリカの習慣

グローバルビジネスの方がより説明責任を求められる

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

最近ではコロナの影響で飲み会が少なくなっていると聞きます。その前から、会社の上司や同僚と行く飲み会は数が少なくなっていて、飲み会を行っても欠席の人が多かったり、嫌々参加している人が多いという状況がありました。社員旅行などはコロナ前から数が大幅に減少していました。今ではゼロに近いでしょうし、飲み会も少ないでしょう。

しかし、例えばお客さんが訪問してきたり、歓迎会や送別会が行われたりという場で、アルコールがビジネスの席で提供されることはゼロではありません。コロナ後を含め、グローバルビジネスとアルコールのつながりをどう考えたらよいでしょうか。基本的には日本国内でも同じマナーなのですが、トラブルがあったときに、グローバルビジネスのほうがより説明責任を求められます。

1つ目に大切なのは、節度。飲みすぎないこと。自分のペースで飲むこと。「無礼講」も「お酒の席だから」という言い訳もグローバルビジネスで通用しません。お酒の席で口を滑らせてしまったことが契約違反になったり、後日大きな問題になることは少なくないです。本人は覚えていなくても、周囲の人は意外と記憶がはっきりしているもの。

2つ目に大切なのは所持品。会社などによってはセキュリティがそれほど厳しくなく、社外にデータの入ったUSBメモリや書類を持ち出すことが多いこともあるでしょう。もしかすると、データはクラウド上であっても、ハードウエアさえあれば比較的簡単にデータにアクセスできてしまうことがあるかもしれません。「飲み屋に忘れてきた」はもってのほかですが、「電車の中で忘れ物」は「飲んだあとに」という事実と組み合わせになると、例えデータの不正アクセスがなくても大きな問題になります。

3つ目はアルコールを他人に勧めないこと。ビールを注ぎあう習慣もないですが、「飲まないといけない雰囲気」を作らないことです。グラスが空になっていたら、「何か飲む?」と聞くのはいいですが、あくまでも質問をするだけ。「水にします」という回答も十分にあり得るでしょう。「飲ませる」行為は容易にハラスメント行為になりますので、注意が必要です。

次にあげられるのが、同席者の責任。最近、日本でも飲酒運転をした人と一緒に飲んでいた人の責任を追及するケースもあるようですが、「一緒にいたのにアルコールを飲むのを止めなかった」という責任を追及されることが多くあります。

アルコールはグローバルビジネスの場でもよく出てきます。「グローバルビジネス」と聞くと欧米をイメージしがちですが、国によっては日本よりもアルコールの摂取量が多い文化もあります。上記の内容は日本でもよく言及される内容ですので、皆さんもよく知っているでしょう。最後に1つ挙げるのが、飲み会の話を翌日しないこと。「食事がおいしかった」とか「お互いのことをよく知れてよかった」などという話は良いですが、アルコールの話や、アルコールが影響した行動の話(例えばカラオケがどうだったなど)はタブーです。


筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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