英語学習

「寒い」をCold以外の5つの形容詞で表現してみる

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

英語力の指標として、表現力の豊かさというものがあります。例えばワインを飲んで、「このワインはおいしい」とだけ言うのか。それとも、「樽の香りが」「シルクのような舌の感触」「鼻に抜けるような」など深い表現を使うのか。ワインの知識の指標となるでしょう。日本語の学習者が「疲れた」と言っても、それを聞いた皆さんは驚かないかもしれませんが、「疲労困憊」「へとへとです」などと言ったら、「この人は上級者かもしれない」と思うのではないでしょうか。同じことが英語でも言えます。

2月になれば寒い日も続きます。しかし「寒い」がColdだけでは、「ワインがおいしい」「疲れた」と同じです。ほかにどんな表現があるでしょうか?

よく使われるのがIt’s chilly. 日本語の「肌寒い」に似ています。ちょっと薄着で外出してしまった時、「もう少し厚手のものを羽織ればよかった」と思うこともあるでしょう。すぐに屋内に入らないと我慢できない、というほど寒いわけではないけれど、肌寒さがあるのはChilly。Chillは「寒気」という意味でも使われます。Briskは「活発な」とか「元気のよい」という意味もありますが、同時に「肌寒い」という意味も。Brisk walkは早歩きですが、Brisk weatherでは冷たい風が吹いていて、セーターを着たくなる温度。似た表現で、Nippyというのもあります。「凍てつく」とか「身を切るように寒い」という訳語を充てられることが多いです。Nipは子犬などが噛んだり、つねったり、植物をはさんだりすること。そんな風に「肌をつねられる」ように寒い、というイメージです。

It’s freezing.であれば、0度を下回っているイメージ。朝起きたら、バケツの水が凍っていた、というのがIt’s freezingです。感覚的なものですから、実際には1度や2度あっても、It’s freezing.でかまいません。

「極寒」というほど寒い場合、Really really coldと言ってもいいですが、Frigidという単語が口に出ると一番です。「寒い」どころではない、ものすごい寒さのこと。マイナス10度、マイナス20度というのがFrigidです。Refrigerator (冷蔵庫)はなじみのある単語でしょう。Reは「再び」の意味。Frige+ratorなので、Frigidにするもの、です。「再び極寒にさせるもの」なので、冷蔵庫です。そう考えると、Frigidという単語も覚えられるのではないでしょうか。


筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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