英語学習

TechnicallyとPracticallyで比較する

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

日常生活であっても、仕事の場であっても、「そういうけど、実際は違う」ということがあるでしょう。建前と本音、という言い方もできるかもしれません。「本当は上司に確認を取らないといけない規則だけど、上司からこの程度の内容なら自分で判断してしまってよいといわれている」といったことがあったりするのではないでしょうか。もちろん、規則から外れることが良いのか、という議論はありますが、このような時に使える表現で、TechnicallyとPracticallyがあります。

Technicallyは「技術的には」が直訳。Technically correctというのは、「技術的には正しい」の意味。言い換えると、「厳密にいえば正しい」の意味です。ただ、それが一般的に(Practicallyの観点で)「正しい」と思われている内容と一致しているとは限りません。例えば、Technically correctでもPractically correctでは無いことがあります。例えばI will do it ASAP.(できるだけすぐにやります)と言って、3週間後にやっと仕事がなされたとします。ASAPは「できるだけすぐ」なので、「できるタイミングがなければ3週間後でも間違ってはいない」という考えもできます。そうすると、Technically correctではありますが、現実的(実用的な観点)には正しいとは言えないでしょう。Technically, you were not late.(厳密にいえば、遅れてはいない)ですが、Practically, you were late.(実用的な観点では遅れてるも同じ)ですね。

逆もあります。Practically correctでもTechnically correctではないケースです。例えば締め切りに3分間に合わなかった場合。「3分くらい大目に見て」という気持ちになるでしょう。もしくは、時速1キロだけ速度違反をしていて、他に10キロも速度違反している車があるのに、自分だけ捕まった、という時、「なんで1キロだけしか違反していなかった自分が」という気持ちになることもあるのではないでしょうか。もちろん、違反は違反なのですが。そんな時に、Practicallyの視点からは「許してくれないかな?」と思います。しかし、もちろんTechnicallyではCorrectではありません。

職場では、「実際には〇〇をしていることもあるけど、本当はXXをしなくちゃいけないんだよ」という時によく使われます。Technically, you are supposed to….などの表現です。もしくは、Practically, two companies are asking for the same thing. But technically, they have completely different reasons.などということもあります。「両社とも実務的な観点からは求めているものは同じだけれど、厳密にいうと理由は全く別物です」という意味です。

このようにTechnicallyとPracticallyを上手に使うことで、「〇〇が当たり前のようになされているけど、本当はXXをしないといけない」というメッセージを伝えられるので便利です。


筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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