ビジネス英語情報

Goodは「良い」か「まあまあ」か?

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

「Goodを日本語に訳してください」と言われたら、どう訳しますか? 「良い」と訳すのではないでしょうか? That is a good idea.と言ったら、「それは名案だ」の意味ですね。しかし、文脈などによってはGoodが「良くも悪くもない」という意味になるのを知っていましたか?

例えば新規顧客獲得のためのプレゼンやイベントを行ったとします。会社に戻って同僚に「どうだった?」と聞かれた場合、もしもIt was good.とだけ答えたらどうでしょうか? イメージとしては100点満点で80点くらいになるでしょう。It was ok.なら70点かも。どちらも合格点ではあります。しかし、「うまくいったよ」という日本語のニュアンスは、70点や80点ではありません。日本語のニュアンスを出すには、It was very good.やIt went really well.のように強調する表現を入れたり、It was excellent.やIt was very successful.などのようにGood以外の単語を使うことが求められます。

もしも3段階で評価をする場合、「良」「可」「不可」があるとします。「不可」は落第点。「可」は合格点。でも決して「良」ほど成績は良くありません。Goodは「良」と「可」の間くらいです。なので、上記のシーンで会社の同僚にIt was good.とだけ言ったら、Just good?やOnly good?などと言われてしまうかも。「もっとどうすればVery goodやExcellentになったの?」と聞かれるでしょう。

似た状況は日常生活でも生まれます。映画に行った感想を聞かれてGoodと言ったり、レストランでウエイターに「食事はどうですか?」と聞かれてIt is good.と答えたりしたら、「悪くはないけど、向上の余地あり」というメッセージになります。

しかし、ReallyやVeryなどの修飾語を使いすぎるリスクもあります。これらの修飾語は表現にカジュアルな響きを与え、やりすぎはビジネスの席では不適切になります。また、アメリカと比べてイギリスなどではVeryなどを使いすぎることは品を欠いた英語ととらえられてしまうことも。ですから、自分の語彙力を高めて、Good以外の形容詞も使えるようにするとよいでしょう。


筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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