ロンドン通信

Language Exchange in London -ロンドン通信vol.10-

日本が大好きだと言ってくれる友人知人がロンドンには数多くいます。日本人は親切、日本食は美味しい、日本の歴史が好き、日本のカルチャーに関心がある、日本の国は美しいなど、人によって理由は様々です。しかしながら、残念なことに、日本語に興味を持って勉強している人に会う機会はそれほど多くはありません。その数少ない貴重な機会を逃さないよう、Language Exchangeを通じて英語を上達させるべく取り組んでいます。
今回はロンドンでどのようにLanguage Exchangeをしているかをご紹介します。

Language Exchangeのパートナー探し

英会話の先生に「英語を上達させるためにはLanguage Exchangeの機会を増やすことも良い手段の一つだよ」と言われたことが、Language Exchangeを始めたきっかけです。Language Exchangeのパートナーを探すには、主に
[1]Meet Upに参加
[2]Language Exchangeのアプリを利用
する方法があると思いますが、私がLanguage Exchangeを始めたときはロンドンがロックダウン中で[1]Meet Upには参加できなかったため、[2]アプリを利用することにしました。

「Language Exchangeのアプリでは出会い系目的のメッセージを受け取ることも多い」と聞いたことがあったため、運営会社がきちんとやり取りを管理しているアプリを選び、以下のような自己紹介をアプリ上で公開しています。半年以上アプリを活用していますが、今のところ出会い系メッセージを受け取ったことはほぼ皆無です。

Hi. I work in central London and look for someone who can meet and exchange our languages here. I just want a friend but not more than that as I have got married.
I used to work as a Japanese teacher and published a book, so I am sure I can help you improve your Japanese.

これまでに、30名以上の方とLanguage Exchangeしました。
私にとって一番難しいことは「なかなか継続できない」ことです。
相手の日本語レベルが初級だと、2歳児に日本語を教えるのと同じように対応しなければならないため、Language Exchangeにならないことがほとんどで、その結果、私のモチベーションを保つことが難しかったです。
他方、相手の日本語が自分の英語レベル(私の場合は中級)と同等以上の場合にはLanguage Exchangeが成立しやすいです。自分の英語レベルと相手の日本語レベルが合うパートナーを選ぶことが、Language Exchangeを長く上手く継続させる秘訣だと感じています。

英語を教わる

1)チャット

一番手軽なのはSNSやアプリでのチャットです。「1日3人以上にメッセージを送る」ことを自分の目標(義務?)に、日々取り組んでいます。
今回は、私にとって最高のLanguage Exchangeのパートナー(Oxford University卒業のイギリス人/以下「Oxford先生」と表記します)とのやり取りを主にご紹介します。

Oxford先生は自らを’I am a language geek.’と称しており、’I speak English at a native level but I also speak good Spanish, reasonable French, and a bit of Portuguese.’とのこと。日本語もとても堪能で、機械翻訳を使うこともほとんどないようですし、漢字も適切に用いており、まさにlanguage geekだと思います!
Oxford先生は、私の誤った英語を正しく直してくれると際に、修正理由を必ず添えてくれます。文法のみならず、ネイティブから見た自然な言い回しという観点からも直してくれ、私にとってはこの上ない指導です。

2)ノート作り

Oxford先生に教わった内容は、このよう全てノートに書き溜めています。


ご参考に、修正してもらった英語を一部ご紹介します。

===
I am not a lawyer, just staff*.
* ‘Staff’ is an ‘uncountable’ word, so you don’t need ‘a’.
===

===
I didn’t know moussaka. I checked it on the website*. It is a Greek dish** with vegs, isn’t it?
* I checked it online (More natural), or
I checked it on a website
(you shouldn’t say ‘the’ website, you are not talking about a specific website)
** It is a Greek dish
(For one type of food. ‘Greek cooking’ = all types of food from Greece)
===

===
I amwould be really happy if you would* kindly take me around London.
* Your sentences are not wrong, but the corrections are more natural. Especially the hypothetical clause (I would be … if…), because you are talking about something that has not happened yet, so it is not certain.
===

===
I don’t want to go* back to Japan.
* ‘To be back’ is a phrase verb that describes when you are physically in a place again. You could have said ‘be back in Japan’ but not ‘be back to Japan’. However, it seems more natural to describe the action of moving back to Japan/going back to Japan, instead of describing your state of being back in Japan after your arrival. Since neither you nor I are in Japan now, it seems unnatural to say ‘I will be back’.
===

===
Thank you for correcting* my English.
* Correcting
(Is more natural than amending*, which is for documents and work)
===

===
I have onlyone* child.
* ‘Only child’ is a wired phrase, it is only used to describe someone, not to describe your relationship to your son. (e.g.) My son is an only child.
===

===
I took my friend to go *cycling ataround* places** such as Hyde Park, Fulham, and Westminster.
* More natural
** The major error is that you forgot the word ‘place’
===

実際にOxford先生に会う時には、予め聞きたいことを整理しておきます。
この日は、よく職場で同僚が使っている単語や表現について聞いてみました。具体的には、
(1) 「確認してください」とお願いするときに、confirm, clarify, checkの表現をよく見るが、どのような違いがあるのか。また、”Please find the attached file.”という表現もよく見るが、findにも「確認する」という意味があるのか。
(2) make senseとunderstandの違いは何か。
(3) kind regards, warm regards, best regardsの違いは何か。

それぞれ、次のようなことを教えてくれました。
(1) confirm…quite certain or sure (90%)の時に用いる単語
clarify…「確認する」という意味とは少し異なる、make clearの際に用いる単語
check…50% sureの時に用いる単語
Please find the attached file.はビジネスシーンでしか用いることがない、書き言葉
Have a lookよりはカジュアルだが、両方とも「確認する」ことを求める趣旨のものではない
(2) make senseはsomethingが主語、understandはsomeoneが主語になるが、understandは相手を少し下に見ている感じになるので、make senseを用いる方が丁寧
(3) warm regards, kind regards, best regardsの順に相手との距離が遠くなる感じ
  (更なる質問)息子の学校の先生たちはよく「warm regards」を使っているが、それにはどのような意味が込められているか
  (回答)学校側は、保護者や生徒を家族のような距離で接したいという意図があるのだろう

また、会話を通じた学びについても、逐一ノートに書き留めて、自分だけのオリジナルノートを作成しています。最近は、一般の参考書ではなく、このノートを見直して英語を勉強し直すことの方が多いです。

3)日本食パーティーの企画

日本食レストランに行く機会はあっても、日本の家庭料理を食べる機会がないと聞き、私がシェフとして日本食パーティーを企画し、友人たちを招きました。参加者の中には、4年以上毎週日本語を学んでいる者もいれば、日本食には関心があるけれども日本語には関心がないという者もいました。
しかし、料理の名称自体が日本語ですし、調味料も日本語なので、私が日本語の先生の役割を兼ねながらみんなで一緒に発音してみたり、’cheers’の代わりに「乾杯」と発生してみたり、参加者みなで日本語に触れることができました。


(注:現在Englandは最大6人までしかgatheringが認められていませんが、これを開催したのはそのルールが施行される前です。)

日本食をきっかけに日本語・英語でコミュニケーションできる良い機会になったので、今後も定期的に企画する予定です。

蛇足)ポテトサラダ(一番不人気)、唐揚げ、とんかつ、焼きそば、照り焼きチキン(圧倒的に一番人気)を作りました。

日本語を教える

最後に、私がどのように日本語を教えているかについて、簡単に共有いたします。

1)チャット

Oxford先生とのやり取り、日本語を教えている場面です。

英語を交えながら日本語を教えることも多いので、必然的に英語力も向上していると感じます。

2)テキスト

テキストベースで日本語を学びたい友人には、希望に応じたテキストを利用します。これは、「書く」トレーニングをするために友人が持ってきたテキストです。

意外なことに、漢字を上手に書けてもカタカナが苦手だったりする外国人もいます。日本語を教えることで私の方が教わることも多いものです。

これは私が作成したテキストです。オンラインでLanguage Exchangeをするときには、このようにパワーポイントを利用して画面共有しながらレッスンを進めることがほとんどです。

正しい英語をしっかりと学ぶことはなかなか難しいかもしれませんが、Language Exchangeは、レッスンで学んだ英語をアウトプットしたり、活きた英語を楽しく学んだり、英語を上達させる貴重の手段の一つであると実感しています。同時に、日本語を学び直す良い機会でもあります。
オンラインでのLanguage Exchangeも勿論よい勉強になりますが、実際に会う方が学びも多く、何より楽しいです!日本に帰国してからも、日本で会えるLanguage Exchangeのパートナーを探す予定です。
皆さまにも是非Language Exchangeにチャレンジしていただきたいと思います!

【筆者プロフィール】

小根森純子。大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社。ロンドン転勤の夫に帯同するため、2019年8月退社。同年10月より英系法律事務所にて勤務開始。
TOEIC790点。二技能かつ選択問題のためそれなりの点数に見えなくもないが、実力的には600点程度と予想。仮に四技能の試験になれば恐らく400点程度。聞く・話すが極めて苦手。
夫・息子(14歳)との三人暮らし。家族・友人・旅行・グルメが大好きで、蛇とネガティブが大嫌い。

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