ロンドン通信

Work From Home / Remote Learning-ロンドン通信vol.7-

Londonerが年間で最も愛する素晴らしい季節が到来しました。日は長くなり(日の出は5時前、日の入りは21時過ぎ!)、太陽は眩しく、花や緑は美しく輝いています。

さて、今回は、3月来続いている私のWork From Homeと息子のRemote Learningについて、とりわけ特徴的と思えた点を中心にご紹介します。

Work From Home

現在ロンドンで経験しているWork From Homeは、私が日本で行っていたテレワークと大きな違いはありません。職場のイントラを利用し、コミュニケーションはメール中心、打ち合わせやセミナーは電話やビデオ通話を活用します。大きく異なる点があるとすれば、経費書類をはじめ各書類に押印が不要であり、契約書等についても自署が電子署名に代えられるため、「必要書類の印刷」が一切不要(これに伴う出勤もなし)ということかと思います。
なお、イギリスではTeleworkという表現には馴染みがなく、Work From Homeという言葉が用いられています。職場のスケジューラー上やメールではWFHの略語が使われることも多いです。

時節柄か、私の勤務する法律事務所においては現在、スタッフ間コミュニケーションやスタッフ個人のメンタルケアに対する配慮が多いと感じています。いくつか具体例を挙げます。

1)Through the keyhole

Through the keyholeは、「この家に住む人は誰か?」を推測するイギリスのTVショーです。事務所では、担当者が週に一度Through the keyholeメールを配信、どのスタッフの住む家かを皆で想像しあって楽しんでいます。といっても、ほぼほとんどの写真に個人情報がないため、趣味や家族構成を知っていなければ、約400名のスタッフの誰の家かを当てるのは至難です。

2)Return to the office questionnaire

事務所では、時間をかけて着実にreturn to the officeの準備を進めています。政府がロックダウンの規制を緩和した5月10日より前の4月下旬には既に、スタッフ全員にquestionnaire(全13問)が送付されていました。questionnaireの一部をご紹介します。


その他、スタッフのメンタルヘルスやウェルビーイングに関する設問も多く見られました。現在は、スタッフからの回答をベースに、経営者と人事とでreturn to the office planを作成中とのこと。

3)Managing Partnerから全スタッフに2日に一度メール配信

Managing Partner(事務所の経営管理責任者)から、2日に一度の頻度で全スタッフに対してメールが配信されています。事務所の経営状況・スタッフの就労状況・政府の指針に基づく事務所の運営計画などテーマは多岐に亘り、具体的な内容が記されています。(代筆ではなく)Managing Partner本人がメールを書いており、通り一遍の形式的なものではない、血の通ったメッセージが配信されています。スタッフの心身の健康を気遣う内容も多く、例えばこれまでには、
・Blue Jeans(事務所が仕事目的でスタッフに利用提供しているビデオ会議サービス)を私用で利用してください。家族や友達、スタッフ同士のお喋りに積極的に活用してください。
・12:30~14:00(本来の昼休憩は12:30~13:30)は会議を入れないでください。どうかゆっくり食事を食べて、リラックスして、よく休んでください。
・私たちが提供しているwell beingのセミナーやonline yogaのクラスは、ぜひ就業時間中に受講して下さい。
などのメッセージを受け取りました。
こうした暖かいメッセージに定期的に触れられることで、私自身の事務所へのロイヤリティが高まっていることを実感しています。

 

先日、あるスタッフのお誕生日会がBlue Jeansで行われました。スタッフの一人のピアノの演奏に合わせて、みんなでHappy Birthdayを歌いました。心の温まる、感慨深いひと時でした。

Remote Learning

続いて、14歳の息子が通うインターナショナルスクールのRemote Learningについてご紹介します。政府がロックダウンの規制を発表した3月23日より前の16日から、Remote Learningが始まりました。13日の金曜日、「来週月曜日の16日からRemote Learningに変更します」との連絡があり、突如Remote Learningに切り替わりました。

毎週、時間割が送付され、各リンクをクリックするとクラスに入ることができ、Google meetを利用して受講します。なお、録画配信される授業はなく、すべてリアル配信です。
ここで、とりわけ特徴的と感じたことは次の3つです。

1)生徒同士のグループワークの多さ

全授業時間の約4分の1は、生徒同士でグループワークを行います。メンバーは、先生が決めることもあれば、自分たちで仲の良い友達と組むこともあります。誰か一人が残されるようなことは一切なく、不思議と自然にいい感じで各グループのメンバーが決まるそうです。
グループワーク中は、WhatsAppの通話機能を利用してメンバーとチャットをしながら、1つのドキュメントをシェアして作業をしていきます。例えば、Scienceの授業では、Google documentを共有して一緒に実験計画を立てたり、Musicの授業では、Sound Trackのアプリを利用して一緒に音楽を作ったり。

グループワーク終了後はクラスに戻り、みんなに共有します。それに対して、生徒が質問したり感想述べたりします。

今は友達とは全く会えないので、こうしたグループワークを通じた友達とのコミュニケーションがとても良い息抜きになっています。ただし、友達との会話が楽しすぎて、全く関係ない話題に展開した結果、時間内にグループワークを終えられないこともあるそうです。

2)授業は常にインタラクティブ


先生が一方的に説明する時間はほぼ皆無で、インタラクティブな授業です。グループワークで無いときは、問題を解くなどの個人作業も多く、とにかく手か口を動かす時間がほとんどとのこと。授業中、生徒からの質問や意見も口頭またはコメントで積極的に発信されているようです(写真右上のコメント欄からも24件書かれていることが見て取れます)。
いつ先生から指名されるか分からないので、緊張感もあります。
なお、いい加減に授業に参加していたら、学校からすぐにメールが送られてくるので、親は子どもの怠惰をよく把握できます。

3)完全ペーパーレス

授業中に利用するツールはGoogleその他アプリケーション、宿題はすべてGoogle documentで提出と、完全にペーパーレスで進められています。なお、この点はRemote Learningに限らず登校していた時も同様で、ノートを使う機会は皆無、プリントを解くこともほとんどなく、すべて各自のiPadで作業を行います。私の学生時代とは異なり、紙や鉛筆を使わず学んでいる息子を見て、digital native世代との様々なギャップを感じているところです。

 

以上、ロンドンでのWork From HomeとRemote Learningをご紹介させていただきました。私の職場でも、息子の学校でも、関係者間の精神的なつながりを意識した運用がなされており、孤独、疎外感、ストレスを感じることはほとんどなく、快適に仕事や学習を進めることができています。私たちには気が付かない多くの工夫や気配りを、運営サイドはさまざまに考えて実行してくださっているものと、感謝してやみません。


【筆者プロフィール】

小根森純子。大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社。ロンドン転勤の夫に帯同するため、2019年8月退社。同年10月より英系法律事務所にて勤務開始。
TOEIC790点。二技能かつ選択問題のためそれなりの点数に見えなくもないが、実力的には600点程度と予想。仮に四技能の試験になれば恐らく400点程度。聞く・話すが極めて苦手。
夫・息子(14歳)との三人暮らし。家族・友人・旅行・グルメが大好きで、蛇とネガティブが大嫌い。

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