アメリカの習慣

アメリカ国内の時差、夏時間

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

日本でも夏時間を採用するかしないか、という話が出ることもありますが、夏時間を採用している国では、 この時期、1時間ずらすことになります。アメリカやカナダは、3月13日から夏時間がスタート。ヨーロッパではサマータイム廃止の動きも強いです。

夏時間、結構ややこしい状況を生み出すこともあります。夏時間になると、前日まで朝の6時だったのが、朝7時に。「あれ、夏時間になると、1時間先に進めるんだっかたか? それとも遅らせるんだったかな?」と悩むのは、現地で生まれ育った人も同じ。混乱しないように、Spring forwardとFall behind/backという表現で覚える人が多いです。Springは「春」の意味。夏時間のスタートは春です。また、Springには「バネ」という意味もあり、そこから「ジャンプする」という動詞もあります。「前方向にジャンプする」という意味のSpring forwardを、「春は前に進める(1時間進める)」に掛けた表現です。そうすると、夏時間がスタートするときは時計の針を1時間進めればよいことが分かります。そしてFallは「秋」。しかし「転ぶ」とか「落ちる・落とす」の意味もありますね。したがって、Fall behindやFall backで「後ろの転ぶ」の意味。秋は1時間後退させる、ということが分かります。したがって、朝7時が6時になるわけです。携帯電話の時計などは自動で修正されますが、例えば電子レンジなどについている時計は設定が必要だったりしますので、1時間進めるのか、遅らせるのかは大切な情報です。

自宅の時計はきちんと修正できても、例えば「アリゾナ州の時間は何時かな?」などは苦労します。アメリカはハワイやアラスカなどを除いても4つのタイムゾーンがあります。アリゾナ州は「山間部標準時」と呼ばれる時間帯に入っています。カリフォルニア州とは1時間の差。カリフォルニア州で朝6時だと、アリゾナ州は朝7時。夏時間になると、カリフォルニア州は朝6時が7時になります。アリゾナ州は8時かと思うと、7時のまま。アリゾナ州は夏時間を採用していないのです。しかし、他の山間部標準時の州は8時。

ちなみに、夏時間はSummer timeと言ったりもしますが、正確にはDaylight Saving Timeです。ネイティブスピーカーでも、Daylight Savings Timeということがありますが、Savingは単数形が正しいです。東部標準時はEST(Eastern Standard Time)と呼び、ETと略されることもあります。夏時間になると、EDTと書きます。DはDaylight Saving Timeの略。前述の山間部標準時の場合、通常はMST(Mountain Standard Time)やMT。夏になるとMDTです。


筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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