ビジネス

ビジネスならビジネスに相応しい表現が必須

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

英語を勉強していると、「英語を流暢にしゃべりたい」と思われることでしょう。実際、「この人はネイティブスピーカーかも」と思えるレベルになるのには、たとえアクセントや発音を考慮しなくても、非常に難しいもの。冠詞や定冠詞で間違えたり、表現がちょっと教科書的だったり。

しかし、「英語を流暢にしゃべる」とは具体的にどういう意味でしょうか? 例えば小学校や中学校を英語圏で過ごした人が日本語圏で社会人になり、英語でプレゼンをしたら、きっと流暢な英語に聞こえるでしょう。しかし、その人の英語は「その場に合った英語」でしょうか? 子供の頃を英語圏で過ごしても、その後の経験がなければ、もしかするとビジネスの表現には弱いかもしれません。これは金融や経済の単語、という意味ではなく、例えば上司や顧客を目の前にプレゼンをするときに失礼にならない表現、という意味です。

プレゼンをしてもらった後に質問があるとき、I would like to know if …(〇〇でしょうか?)と聞くことがあります。Would like toは中学校でも学ぶシンプルかつ、丁寧な表現。しかしネイティブの子供同士でこの表現を使うことはありません。すると、ビジネスの席でI wanna know if…(〇〇なの?)という表現が思わず口から出てしまうことも。

I wanna know if…でも、発音は良いかもしれません。しかし、これを流暢な英語と呼ぶでしょうか? 逆に少し文法やアクセントに不安があっても、I would like to know if …という表現を使えた方が適切ではないでしょうか?

外国語の学習者同士だと、アクセントやイントネーションで「この人は流暢だ」と判断してしまいがち。しかし実際には、アクセントやイントネーションで苦労している人の方が適切なコミュニケーションをしていることもあります。また、もしも皆さんが発音などで苦労していたり、不安を抱えているとしたら、もちろん相手にわかりやすい発音を気にする必要はありますが、「だから自分は英語が苦手」という意識を持つ必要はありません。


筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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