アメリカの習慣

お店に入って最初の一言

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

デパートでもいいですし、近所の商店でもよいので、お店を想像してください。カウンター越しに店員さんがいて、皆さんの注文を待っています。皆さんはどう、その店員さんに話しかけますか? たぶん、一番よくあるのは、「〇〇ください」というパターン。店員さんが皆さんに気付いていない場合には、「すみません」と言ってからかもしれませんね。店員さんは笑顔でサービスしてくれるでしょう。

しかし、例えばフランスだったらどうでしょうか? 上手なフランス語であっても、「〇〇ください」というだけでは、失礼な人と思われてしまうでしょう。まずは店員さんに「こんにちは」ということが大切。そう挨拶して、一拍、二拍おいた後に「〇〇ください」というのが礼儀です。

洋服を買う時も同じ。店員さんに「このシャツのMサイズはありますか?」といきなり聞くのはなく、まずは「こんにちは」。そして一拍おいてから質問します。パン屋でも、コンビニでも、デパートの総菜コーナーでも同じです。また、個人商店のような小さいお店に入ったとき、店内の人々に「みなさん、こんにちは」というのも礼儀です。日本で言えば、パン屋や地元の郵便局の様な場所が含まれます。

レストランに行くと、日本では店員さんが「いらっしゃいませ」とも言わずに、いきなり「何名様ですか?」と聞くこともありますね。これもフランスではまずありません。とにかく最初は挨拶。お客さんも挨拶。そして一拍おいてから、「何名様ですか?」などの会話になります。

アメリカでは様子が違います。フランスにある「一拍、二拍の空白」がありません。しかし、店員さんに「こんにちは」と挨拶してから何かをお願いする習慣は、日本よりも強いように感じます。日本のコンビニで店員さんに「こんにちは」と言ってから商品かごを渡すことはまずないでしょう。フランスの人がアメリカで買い物をすると、「何かせかされている感じがする」ということがありますし、アメリカ人が日本で買い物をすると「接客は丁寧だけど人間味がない」と印象を語ることがありますが、その理由の1つかもしれません。


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筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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