ビジネス

Water coolerの大切さ

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

日本のオフィスで仕事中にほんのちょっとした息抜きができる場所はどこでしょうか?
もちろん業務中にリラックスするとか、無駄話をするのはいただけない、とも思われますが、実際にはちょっとした立ち話や休憩が全体の業務効率につながることもあるでしょう。ちょっと前であれば、喫煙室を利用していた人もいるかもしれません。お手洗いに行った帰りに数十秒の立ち話があったかもしれません。自動販売機や給湯室が息抜きの場所、ということもあるでしょう。

アメリカではよくWater coolerの大切さが語られます。Water coolerとは、ミネラルウォーターなどのタンクのこと。水道からの水をあまり直接飲まないアメリカでは、大きな濾過水の容器が定期的に業者から運ばれてきます。そこから個人がお湯や水をコップに注いで飲むという方式です。日本の給湯室に似ているでしょう。

Water cooler talkと言えば、水を取りに行ったところで社内の噂話を耳にするイメージ。給湯室や休憩室にも同じような習慣があるかもしれません。話をしようとWater coolerに行くわけではないですが、偶然そこにいた人とちょっとだけ話をする、ということがあります。ただ、うわさ話や特に仕事に関係のない話と言っても、侮れません。

コロナ禍にあって、チームとしての一体感が失われた大きな理由の1つとして、Water cooler talkの欠如が挙げられています。業務自体はヴァーチャルでも様々な手法を用いて可能です。しかし、業務中のちょっとした無駄話をわざわざZoomですることもないでしょうし、職務規定上好ましいものでもありません。

しかし、組織とは業務の結果だけでその価値が決められるものではありません。例えば、昼食を従業員で一緒に食べたいと思う組織と、皆がばらばらに昼食を食べに行く組織では、どちらが団結力を持つでしょうか? Water cooler talkは直接業務とは関係がないですが、いざという時の組織力に直結しているものです。


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筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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