アメリカの習慣

Hotelingとは

木内裕也
PEGL[ぺグル] -実践ビジネス英語講座- 講師

「ホテル」という単語は馴染みがあるでしょう。日本語でも使われる通り、宿泊所のこと。Hotelingという風にingを付けてオフィスで使われたらどうでしょうか?決して夜遅くまで仕事をして終電を逃してしまい、翌朝までオフィスで眠ることではありません。

Hotelingとは、特にコロナ後、在宅勤務の人が増えたこともあって一層進んだトレンドです。Hot deskingと同じ意味で使われることもありますが、固定された自分のオフィスや机を持たないシステムです。昔からのイメージでは、オフィスと言えば自分の机があって、そこに資料などが積み重ねられているイメージ。引き出しの中には自分の文房具などが入っています。

しかし、もっと柔軟性のある労働環境を進める意味からも、コロナ前から個人所有でない机やオフィスが増えていました。そしてコロナ後には、週に1度や2度しかオフィスに行かない人も多く(場合によっては月に数回の人も)、その人のために机やオフィスを用意しておくのは非効率的です。

したがって、自由に使える机やオフィスを複数用意しておき、必要な人へ必要な時に貸し出すシステムが盛んです。Hotelingはホテルと同じように、予約をする制度。〇月〇日のX時からX時に、ABCという部屋を借ります、という方式です。Hot deskというのは、特に予約をせず、空いている席やオフィスがあったらそれを自由に使える制度です。

このような方法をとると、オフィスビルを構える必要はありません。外回りの人が多いオフィスでは、机の稼働が実は就業時間の5割以下、ということもあるでしょう。また、1か所にオフィスを集中させるのではなく、あちらこちらに限られた数のオフィスを散らばせることによって、従業員の自宅や、取引先のオフィスの近くから仕事をすることも可能になります。

アメリカでは一般企業だけではなく、政府関連のオフィスもHoteling modelが行われています。また、シリンコンバレーなどではこのようなシステムは昔から進んでいました。もちろん、個人のオフィスを持つことの価値もありますから、あらゆる組織でHotelingをするのがよいわけではないですが、このような柔軟な労働形態も選択肢としてある組織が増えています。

筆者:木内 裕也 PEGL[ぺグル]-実践ビジネス英語講座-講師 アメリカ在住
https://pegl.ohmae.ac.jp/lecturer/kiuchi
ミシガン州立大学アメリカ研究博士号取得。国際会議、企業間交渉、テレビ放送などでの同時通訳ならびに実務翻訳を中心に活動。バラック・オバマ元大統領の自伝、マイ・ドリームの翻訳者。アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を学術専門分野としてデトロイトやボストンなどで研究を行う。ミシガン州立大学では、アメリカ研究、大衆文化の授業を担当。上智大学で通訳講座を担当した経歴も持つ。TOEIC、TOEFLで満点、英検1級など主要な英語資格検定で最高峰の記録を持つ。

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